ご挨拶

新春の候、会員の皆様にはますます御健勝のこととお喜び申し上げます。

 

 さて、日本臨床心理劇学会第46回佐賀大会を、オンライン開催で行うこととなりました。心理劇は、心の中にある思いを同席するメンバーと共に劇の形にし、これを表現する活動を通して、心や人間関係を豊かにすることのできる集団心理療法です。ところが、2020年に全世界を襲った新型コロナウイルスは、集まること、交わること、声を出すこと、空間を他から遮ることといった、心理劇にとって大切な療法的要素に大きな制限をかけてしまいました。さらには、夏のワークショップや各地の心理劇研究会も中止・中断を余儀なくされ、これにより、会員同士がお互いの息づかいを感じにくくなる状況も生まれました。

 

 そこで、第46回佐賀大会は、「コロナ禍での心理劇:みんなどうしてる?」というテーマを設けました。副題には、コロナ禍において「心理劇の実施上の工夫をどうしてる?」という意味と、久しぶりの再会にあたって「みんな元気?どうしてる?」という意味の2つが掛かかっています。今大会において、前者では、新たな舞台となったオンライン上では、どのような心理劇が可能で、どんな体験が味わえるのかという挑戦的な話題が取り交わされるものと思います。後者では、画面上での顔合わせやチャット機能を通して、快い情報や情緒が交わされるものと思います。

 

 さらに、今回は「初めての心理劇講座」として援助職や学生の方に心理劇の基礎と実際を紹介する枠を設けました。初めて参加される方におかれましても、今大会への参加を通じて心理劇という新たな視点を得ることで、日頃の援助や将来展望に新たな創造が生まれる機会になれば幸いです。

 

 オンラインで丸1日参加すること、情報機器の準備をすることなど、普段とは違うご苦労がかかることと存じます。しかしひょっとすると、この制限された状況だからこそ、見つかるものがあるかもしれません。ウィズコロナ、アフターコロナの時代における対人支援に向けて、皆様が新たな力を得る機会になればと願い、第46回佐賀大会への参加をお待ち申し上げます。

 

 

 

2021年1月5日

第46回佐賀大会準備委員長

岡嶋一郎(西九州大学